ユリは殆ど意識も絶え々々に窓際に立たされると、リョウに言われるがままにロングスカートをめくって、その端を自分の口にくわえた。
 尿と愛液にまみれたスカートは妙な味がしたが、ユリは今さら、リョウの言葉に逆らうつもりはなかった。これで、自分はリョウの「女」になることができる。もっといえば、リョウのいないところで一人、毎日やってきたことではないか。
 オナニーがリョウにばれ、それを兄が受け入れてくれた以上、なにが恥ずかしいことがあるだろう。
 そう思ったのも、殆ど意識がなかったせいかもしれない。意識がはっきりしていれば、この日の展開も違っていたかもしれなかった。

Act.1-8 Hibiscus
KEEF

 リョウはスカートをめくるように妹に言うと、ユリの前にしゃがみこんだ。彼の目の前には、白とグリーンのストライプのショーツが、微妙に腰を前後させながら動いている。
 ユリは興奮していたが、それはリョウも同じだった。ただ、彼は主導権を握っているだけで、妹よりも落ち着くことができている。
 リョウはユリのショーツに指をかける。さすがに、ぴくりと身体が動いた。

「下ろすよ」

「……うん……」

 驚くほど頼りない、だが、これ以上ないほど好奇心の込められた返事を待って、リョウはユリのショーツを下ろしていく。
 そして目の前に、妹の秘所が顔を現した。リョウにとっては初めてみるものではない。サウスタンの闇に片足を突っ込んでいれば、何度かは目にする欲望の行き先の一つだ。
 ただ、慣れているか、慣れていないかはまた別の問題ではあるけれども。
 ユリは片足を上げ、愛液でびしょびしょのショーツが完全に脱がされるのを手伝った。まるで犬がおしっこをするときの格好のようだ、とふと思った。
 リョウの目の前のそれは、これまで見たことのあるそれよりも、誰よりもみずみずしく、誰よりも小さかった。

「で、結局、今日は何回イッたの」

 太ももを撫でながら問うと、身体を小さく痙攣させながら愛しい妹は、スカートの端を持ったまま、呼吸を乱してなんとか答える。

「ン……わ、わかんない……おぼえてないよう。お兄ちゃんのせいだもん」

「そっか、俺のせいか」

 淡々と答えると、リョウは、再び、そして今度は直接、ユリの秘所に指を伸ばす。そして、優しく陰唇を振るわせ始めた。
 すぐにユリの身体が反応する。

「んん、やだぁ、もうイクのやだぁ……」

 だが、その言葉は兄に黙殺された。徐々に指の動きが早くなり、尿と愛液にまみれたそこは、すぐに再び湿気を取り戻しつつあった。

「イクときは、イクって言うんだぞ」

 そして一呼吸おいてから、彼の指の動きが一気に早くなった。
 優しくこするように、そして厳しく攻めるように、ユリの陰唇を責める。すでにグロッキー寸前だったユリは、自らスカートを大きく広げながら、愛液を撒き散らし、膝をガクガクと振るわせた。

「んあああ、ひぃっ、あん、ぐ、ひいい!」

 もはや立っていられなくなって、ユリはがっくりと膝をついたが、これが兄の許すところではなかった。
 リョウは器用に、片手でユリを愛撫しながら、片手でユリのTシャツを脱がせる。わずかに盛り上がった乳房を隠すためのブラジャーも、繊細な手つきで取り去った。
 ユリは、上半身裸にロングスカートの端を自分で持ち上げるという隠避な姿になっていた。

「ブラは? いま、なにカップなんだ」

「あ゛あ゛あ゛、イグゥ……! び、Bカップ……んあ、イクッ!」

 もうまともな思考能力も残されていないだろうが、ユリは懸命に、そして素直にリョウの質問と愛撫を受け入れた。
 だが、それも限界が近づいていた。二回目の潮吹きをリョウがその指に浴びたとき、ユリの体力はほぼ限界だった。

「イッッイグッッ」

 という一声を残し、ひきつけのように痙攣して、ユリの身体はリョウに覆いかぶさった。
 それが、今夜の狂乱の終わりを告げていた。
 様々な液体でびしょぬれになったスカートだけの姿の妹を優しく抱き上げながら、これからどうなるのか、リョウにも予想がつかなかった。


 朝、ユリはソファの上で目を覚ました。恐らく、びしょぬれのままのユリをベッドでは寝かせにくかったリョウの心遣いだろう。
 目を覚まして、ユリははっとした。上半身は裸のままで、ショーツもはいていない。スカート一枚のあられもない姿だった。
 だが、このあられもない姿でユリは、それ以上のことを昨晩、兄の前で、兄の手で行ったのだ。思い出すと、顔から火が出るくらい恥ずかしかった。兄にオナニーがばれたときとは比べ物にならないくらいの恥ずかしさだった。
 それでも続けてしまったのは、ことが常に兄にリードして行われたせいかもしれない。
 自分の意志ではとてもではないが、上半身裸のままスカートの端を持ち上げて兄に全裸をさらす、などということができるはずがない。

(それにしても……)

 着替えることも忘れ、バストを空気にさらしたまま、ユリは顎に手を当てた。
 部屋をよく見ると、昨晩、自分が何度も噴出した液体の類は、綺麗に掃除してある。ああ見えて細かい兄のことだから、ユリが寝るのを待って掃除したのかもしれない。

(全部、見られちゃったなあ)

 それこそ、全部、だ。未発達のバストからクリトリス、それこそ処女幕や膣の入り口まで、全て見られてしまった。それだけで、ユリは顔が真っ赤になる。そして、絶頂を迎えそうになる。
 いまここでオナニーしてしまえば、数秒でユリはイクだろう。

(これであたし、お兄ちゃんの「女」になれた……んだよね?)

 それは、悦びの確認であり、同時に不安の反復だった。
 昨晩の激しい行為が、自分が兄の女になるための通過儀礼でなかったら……いったいなんだったのだろう。
 妹の激しい秘密を覗いてしまったことへの「謝罪」行為か? ……それだけはいやだった。
 それならいっそ、死んだほうがましだ。
 こういうことは、リョウに聞くのが一番いい。兄は、こういう質問に逃げも隠れもしない。
 真正面から率直に、一言で答えるだろう。YESか、もしくはNOか。

 そのとき、ふわりとユリの肩に感触があった。ほぼ全裸のユリの肩から、シーツがかけられたのだ。
 リョウだった。ユリが振り向くのと同時に、リョウがユリの唇に自分の唇を重ねた。
 ユリは、今度は歯をかみ合わせることはせず、素直にリョウの舌を受け入れた。
 リョウは、しばらく妹の舌を陵辱した後、唾液の糸をひきつつ唇を離した。そして言った。

「おはよう、ユリ。いつまでのそのカッコじゃ風邪を引くぞ。
 ジャワーでも浴びてきたらいいぜ。朝飯にしようや」

 濃厚なキスと、いつもと変わらぬ笑顔で言われたその言葉が、ユリにとってはなによりも明快な回答だった。
 自分は、兄の女になれたんだ。

「……うん」

「あ、それとな、ユリ」

 背中を向けかけたユリに、照れくさそうな男の声が飛ぶ。

「……愛してるぞ」

「はーい」

 ユリはシーツを抱えたまま、幸せそうな顔で、スカート一枚でシャワールームに消えた。