一頻りユリの前後の穴を陵辱し、リョウは指を抜いた。
 ユリはソファにぐったりと上半身を投げ出し、絶えず身体を震わせていた。自分でも何度迎えたのか定かでない、途方も無い数の絶頂の後遺症だった。特に、これまで触られたことも無かったアナルで与えられた数度の絶頂は大きかった。考えもしなかった場所を責められる驚きと、前から来る感覚とはまったく違う、直接頭に響くような快感が、彼女の羞恥心と理性とを完全に弾き飛ばしたのだ。
 横たわるソファは彼女の汗と涎で、床は大量に噴出された潮でびしょぬれになっていた。すでに腕を拘束したままの手錠のことなど、頭の片隅からもとんでいた。

 これだけされても何とか意識を保っていられるのは、普段の訓練の賜物であったろうが、すでにユリはまともな思考も言葉も持っていなかった。失神寸前の身体に、ただ肉棒によるトドメを求めて、淫猥と快楽の光に支配された瞳を、自分の飼い主に向けるのがやっとだった。


Act.2-12 Real & Surface [6]
KEEF


 視線を向けたほうは既に意識の介在すら怪しい状態だったが、向けられたほうはいたって平成だった。
 ユリの視線と、脇で二人を見守る香澄の意識は、相変わらず天を向いて屹立したままのリョウの肉棒に釘付けだった。リー・パイロンが渡しユリの使用したセックス・ドラッグの効果もあったであろうが、彼女らの口と子宮にいったい何発を打ち込めば、この肉の凶器を鎮めることが出来るのか、考えただけで香澄は呼吸が熱くなる。
 香澄は、自分を道具として扱われることに対して、ユリほど割り切れているわけではなかったが、この凶器に服従し陵辱される喜びには、充分すぎるほど目覚めてはいたのだ。

 リョウは少しだけ時間を置くと、未だに軽い痙攣を続けるユリの背中に覆いかぶさった。そして、その耳元で呟く。

「ユリ、自分で気づいているかどうかは知らないが……。お前、けっこう我慢しているだろう」

 静かな口調だったが、言われたユリも、脇で見守っている香澄も、リョウが何を言っているのか理解できていなかった。我慢も何も、つい先ほどまで、ユリはリョウ自身の責めであれだけ悶え喜び、意識が飛ぶ寸前まで追い込まれているではないか。

 リョウは続ける。

「お前、自分がいまどうなってるか解っているだろう? 腕を拘束され、足腰立たないほど激しくイきまくっても、まだ意識を保とうと必死で我慢している」

 それはそうだろう、と香澄は思った。だがユリは、失神寸前の頭でなんとなく理解していた。
 彼女はまだ、道具になりきれていない・・・・・・・・・・・のだ。
 自分でそう口にし、それを望みながらも、まだユリは「リョウと共に」、即ち「対等の立場で」果てようとしていた。だがそれは、「道具」が持つはずの無い願望だった。
 身体のほうは、自分の欲望に素直に開ききっていたが、逆に心のほうが、最後の一線を、自分が知覚していないところで超えられていなかったのである。

 リョウは、タオルを持ち出すと、それを猿轡さるぐつわよろしく、ユリに咬ませた。ユリがそれに素直に従い、リョウは彼女の首の後ろでそれを縛る。ユリの口は塞がれた。
 ユリは口を塞がれながら、改めて兄の眼を見る。その目は、“壊れていいの?”と、問うていた。
 答えるように、再びリョウはユリの耳元で囁く。

「これでお前は、口も腕も動かない、本当に「モノ」になったんだ。……「モノ」が余計なことを考えるな」

 本当に道具になった。そう飼い主に告げられた。それを認識した途端、ユリの心からなにかが抜けた・・・・・・・。身体が軽くなり、意識が中空に放り出されたようにくらっとした。

「これから、お前を壊すぞ・・・・・・、ユリ。本性リアル仮面サーフェスも全て吹っ飛ばしてやるから、“道具”として壊れてみせろ」

 リョウの言葉に、ユリが力なく頷いた瞬間だった。リョウの肉棒がユリのアナルに突きこまれた。

「んぐぅっ!!!!」

 一瞬にして激しい絶頂に襲われ、ユリの意識が狩られた。力と制御を失った膀胱が決壊し、ユリはだらしなく床に向かって放尿した。
 失神したのはゼロコンマ数秒の間だったが、リョウは容赦なく妹の頭をソファに押さえつけ、一切の仮借なく、指が通るのがやっとだったその菊門を、極太の肉棒で攻撃した。

 それは凄まじい快楽の嵐だった。全てを擲ち、全てを預けた者のみが味わえる、マゾヒズムの悦楽の絶頂だった。リョウの容赦の無い力強い責めに、ユリの意識は激しくオンとオフを繰り返した。視界の奥で白い光が何度もスパークし、涙と涎と潮と尿とを同時に撒き散らしながら、立て続けの絶頂を受け入れた。
 ユリは激しく悶えの声を上げたが、それはもう人間の叫びではなかった。動物としての吼えですらなく、壊れていく道具の軋みのようだった。

【お、おにいちゃ ごしゅじさま 道具 ち●ぽ きもちい イ、イク 好きぃ】

 点滅を繰り返す意識の中で、直接脳を犯されているような異様な快感に支配され、ユリは激しくのたうつ。その激しく痙攣する身体を押さえつけ、なおもリョウは妹の尻を責め続けたが、流石に限界がきた。もともと前と後ろでは感覚が違う上に、ユリは両方ともとんでもない名器であったのだ。
 リョウは一気に根元まで妹の直腸に突きこむと、勢い良くその奥に射精した。肉棒が膨れ上がり、津波のごとく噴出す熱い精液の感触は、ユリの脳を一気に焼いた。

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッッッッ!」

 ユリの背中がぐんと反り、これまで以上に腕と足がビクンビクンと攣る。それを腕力で押さえつけながら、なおもリョウの射精は止まらない。
 やっと長かった放出を終えると、リョウは勢い良く肉棒を妹のアナルから引き抜いた。

「ぐっ!」

 引き抜かれる瞬間、雁の部分が菊門をこすり、最後の軽い絶頂をユリに与えた。そして、それがトドメとなった。ユリは完全に意識を失い、自分が放出した尿の池に沈むようにずるずるとへたりこんだ。

 ユリを拘束していた手錠とタオルを外すリョウの姿を見ながら、香澄は思わず裸のまま剥き出しになった太ももをすり合わせる。その秘所ははっきりと愛液を溜め込んでいた。
 今、自分が目撃したユリの痴態を、今日のほぼ丸一日、自分もユリに目撃されていたのだ。そう思うと急に胸と頬が熱くなり、恥ずかしさを覚えてしまうのだった。
 香澄は思わず、自分の下腹に手を当てる。今日、何度も子宮に直接注ぎ込まれたリョウの精液が、未だに熱さを持って動いているように、香澄には感じられていた。