ユリにとって「幸福な生活」というのは、こういうのをいうのだろうか。ユリの生活は、それほど激変した。
朝、笑いながら兄とご飯を食べた後、二人が外出するちょっとの間、ソファに座った兄の膝の間にちょこんと座り、談笑する。そして、その隙にどちらかがディープなキスを一回か二回。
そして、リョウが合図すると、ユリは待っていたかのように、全裸になるか、スカートをたくし上げてキッチンシンクに手を着き、リョウに向けてお尻を突き出す。
なにが起こるかすでに知っているユリの秘所は、すでにぐっしょりと濡れていることが多い。
「これから学校なんだから、あまり濡れさせるなよ」
などと好き勝手なことを言いながら、リョウはその妹の股間を舐めるように観察することが増えた。
アナルの皺の一本まで数えるかのような観察は、リョウにとっては新しい発見に繋がるかもしれないが、ユリにとっては死ぬほど恥ずかしい。
どれだけさらせるところはさらしてみても、お尻の穴というのはまた別格だ。
ただ、そこを見られて「イキそうになるくらい」恥ずかしい、というのも、ユリ独特の慣性なのかもしれない。
そして、リョウはユリの陰唇からクリトリス、あるときは尿道の入り口にいたるまで、徹底的に愛撫する。
処女の妹を傷つけないように、深くえぐることはしなかったが、それでもその愛撫はユリを至福の世界へ連れて行った。
ユリの膝がガクガクと揺れ、あふれる愛液が膝を伝うのはすぐであった。
「んああ、あうん、あん、ひぃっ」
喘ぎ声の発生というのが自然なものなのか不自然なものなのか、ユリにはわからない。
だが、それを発している瞬間、たまらなく幸福なことは確かだった。
ユリはイクまでの時間が短い。リョウが愛撫を始める前から殆どイキそうになっているのだから当然だが、この日も、すぐに結末は訪れた。
「ああ、い、イク……!」
両膝を震わせて痙攣した後、床にへたり込んだ。
リョウは、ユリの愛液で濡れた右手をユリの目の前に掲げてみせる。
ユリはトロンとした瞳で、その濡れた手に舌を這わして自分の愛液を舐めとっていく。
朝は、ユリの学校もあるし、リョウはあまり激しいことはしない。ユリを絶頂させても一度か二度で、失神させるようなことはしなかった。
リョウがユリの眼前から右手を離すと、ユリが名残惜しそうにそれを見送る。
リョウは手早く荷物をまとめると、バイクのヘルメットとキーとを手にした。
「それじゃあな、学校には遅れるなよ」
「……あい……」
多少痙攣の残る膝を押さえながら、ユリは力なく答えた。